事業目的の決め方
会社も非営利法人も定款に定められた目的の範囲内で権利を行使することができます。
言い換えますと、事業目的は、会社・法人が行使できる権利の範囲を決める重要なものです。
以下のようなポイントに注意して、しっかりと検討しましょう。
営利性
会社は営利を目的とする団体である以上、事業目的にも営利性が求められます。
こうした観点から、「社会福祉の出資」「政治献金」などは定款の目的として認められないと考えられています。
この点、非営利法人の事業目的には営利性は必要ありません。
適法性
当然のことですが、違法な目的(適法性を欠く目的)を定款に定めることはできません。
次のような例では、適法性を欠くため事業目的として不適格と考えられています。
一定の資格を有する個人でなければ営むことができない業務
弁護士、司法書士、行政書士、公認会計士、税理士、社会保険労務士、土地家屋調査士といったいわゆる「士業」は、その資格がなければ業務を行うことができません。
これら士業は、個人の人格、信用、能力を信頼して資格が付与されているため、業務を行えるのはあくまでも資格者個人です。
そのため、会社・法人の事業目的として士業の業務内容を定めることはできません。
ただし、不動産鑑定士及び測量士の業務を会社の事業目的として定めることは可能とされています。
法令や公序良俗に反する業務
「賭博場の運営」「麻薬の製造、販売」といった違法行為を事業目的として定めることはできません。
明確性
事業目的が会社・法人の権利能力を決めるものである以上、その意味は明確でなければなりません。
したがって、使用される語句の意味が不明確な事業目的や、文意が不明確な事業目的を定めることはできません。
具体性
会社法の施行に伴い、会社の登記の際に事業目的の具体性は審査しないとされました。
したがって、具体的ではない事業目的でも公証人の認証を受けられますし、登記をすることもできます。
しかし、事業目的をあまりにも抽象的に定めると許認可を得られない可能性があります。
また、抽象的な事業目的しか定めていないと、どのような事業を行う会社なのかが登記事項証明書(登記簿)を見ても判然とせず、取引を始める相手としては心配です。
具体性は審査されないとは言っても、ある程度具体的な事業目的を定めたほうがよいでしょう。
許認可申請
許認可を申請する場合、定款・登記簿に記載された事業目的が審査対象になることがあります。
許認可が必要な事業を営む場合、事業目的の記載方法に留意する必要があります。
事業目的の決定は専門家に
事業目的をどのように定めるかは、会社・法人の設立に際して最も悩ましい点であると言えます。
High Fieldグループにご依頼いただく場合には、大まかな事業内容を教えていただければ、それを基に当事務所が事業目的案を作成させていただきます。